亜鉛を含む食品

亜鉛を多く含む食品

亜鉛は体内で産生されない

亜鉛は人の身体で作り出すことができない栄養素(ミネラル)です。身体に蓄えるため、毎日食事で摂取することが大切です。

毎日の食事から、亜鉛を多く含む食品を積極的にバランスよくとり、亜鉛不足を解消しましょう。

1日あたりの亜鉛摂取推奨量

厚生労働省は「日本人の亜鉛摂取基準(表1)」を設定しています。

平成27年に行われた「国民健康・栄養調査」で、1日あたりの平均亜鉛摂取量が報告されています。成人では70歳以上の女性以外は、男女とも各年代で推奨量を10%程度下回っています。
日本人の多くが、知らない間に慢性的な亜鉛不足になっているのです。

表1の推奨量に近づくように、もう少しだけ亜摂取量を増やしていきましょう。

(表1)1日あたりの亜鉛摂取推奨量1)

男性 18~74歳
75歳以上
11mg/日
10mg/日
女性 18~74歳
75歳以上
8mg/日
8mg/日
妊婦 10mg/日
授乳婦 12mg/日

亜鉛を多く含む食品

亜鉛不足を解消するためには、亜鉛を多く含む食品を毎日摂取することが大切です。特定の食品にかたよらず、いろいろな食品をまんべんなく摂取するようにしましょう。

(表2)亜鉛を多く含む食品2)

食品 大人一食分のおおよその量 100gあたり
亜鉛含有量
亜鉛含有量
牡蠣 60 g / 5粒 7.9 mg 13.2 mg
豚レバー 70 g 4.8 mg 6.9 mg
牛肩ロース(赤肉、生) 70 g 3.9 mg 5.6 mg
牛肩肉(赤肉、生) 70 g 4.0 mg 5.7 mg
牛もも肉(生) 70 g 2.8 mg 4 mg
牛レバー 70 g 2.7 mg 3.8 mg
鶏レバー 70 g 2.3 mg 3.3 mg
牛バラ肉 70 g 2.1 mg 3.0 mg
ほたて貝(生) 60 g / 3個 1.6 mg 2.7 mg
米飯(玄米) 150 g / 茶碗1杯 1.2 mg 0.8 mg
うなぎ 80 g / 半尾 1.1 mg 1.4 mg
米飯(精白米) 150 g / 茶碗1杯 0.9 mg 0.6 mg
木綿豆腐 150 g / 半丁 0.9 mg 0.6 mg
たらこ 25 g / 半腹 0.8 mg 3.1 mg
カシューナッツ
(フライ)
15 g / 10粒 0.8 mg 3.1 mg
納豆 40 g / 1パック 0.8 mg 1.9 mg
煮干し 10 g / 5尾 0.7 mg 7.2 mg
アーモンド
(フライ)
15 g / 10尾 0.7 mg 4.4 mg
卵黄 16 g / 1個 0.7 mg 4.2 mg
そば(ゆで) 180 g / ざるそば1枚 0.7 mg 0.4 mg
プロセスチーズ 20 g / 1切れ 0.6 mg 3.2 mg

亜鉛を摂取する際の注意

亜鉛を食べ物から摂る際に、一緒に食べる食材との組み合わせに注意する必要があります。3)

亜鉛を多く含む食品を食べる場合には、「吸収率」を良くする工夫が大切です。
「吸収率」とは同じ量の栄養素を含む食品を食べたときに、どのくらいの栄養素が体内に吸収されるかを計算した値です。

亜鉛は腸からの吸収率が20~40%程度と、吸収効率の低い栄養素です。そして同時に食べる食品によって『吸収率』が変わることがわかっています。

亜鉛の吸収率をアップさせる為に、おすすめの食べ方があります。

  • 肉類・魚類に含まれる動物性たんぱく質と一緒に食べる
  • ビタミンC、クエン酸、リンゴ酸などの酸が豊富な食品と一緒に食べる

反対に亜鉛の吸収率を下げる食品や栄養素があります。

  • コーヒー
  • 穀類や豆類に多く含まれるフィチン酸
  • ほうれんそうなどに多いシュウ酸
  • 加工食品に使われる添加物のリン酸塩やポリリン酸

亜鉛の吸収率を下げる食品や栄養素を同時に摂取すると、亜鉛を吸収できなくなる可能性があります。

亜鉛を有効に摂取するためには、食品や調理法が偏らないことも大切です。

料理例

亜鉛を多く含む食品を使った、おすすめ料理をご紹介します。
この料理例では、他にも付け合わせ・副菜を注意することで、亜鉛摂取量のアップが期待できます。
ぜひ、いろいろな料理に挑戦してみてくださいね。

(表3)亜鉛を多く含む食品で作られた料理例

すき焼き 蕎麦 うなぎ丼
亜鉛含有量:4.8mg
(牛肩ロースと木綿豆腐の亜鉛量から計算)
(内訳)
牛肩ロース 70g
木綿豆腐 150g 使用
亜鉛含有量:0.7mg
(内訳)
そば(ゆで) 180g 使用
亜鉛含有量:2.0mg
(内訳)
うなぎ 80g
米飯(精白米)150g 使用
すき焼き 蕎麦 うなぎ丼

その他の亜鉛を多く含むレシピはこちらをご確認下さい。

1)厚生労働省:日本人の食事摂取基準 2020年版より作表

2)一般社団法人日本臨床栄養学会:亜鉛欠乏症の診療指針2018より引用改変

3)児玉 浩子ほか. 日本臨床栄養学会雑誌 2018; 40(2): 120-167
http://jscn.gr.jp/pdf/aen2018.pdf

監修:
帝京平成大学大学院 健康科学研究科
特任教授 児玉 浩子 先生