風邪をひきやすい

風邪をひきやすい

免疫力とは

免疫は私たちの身体を細菌やウイルスから守ってくれる、とても優れた生体の防御システムです。

私たちの身体は未知の細菌やウイルスに感染すると、細菌やウイルスの特徴や対処方法を学習し、身体を守っています。さらに、その感染したという情報は常にアップデートされ、次の感染では重症化しない、身体がダメージを受けないようにしています。これらの働きをまとめて「免疫」とよんでいます。

人はさまざまな場面で免疫を働かせていて、この力を免疫力と呼んでいます。免疫力が低下すると、次にご紹介する様々な原因に対する抵抗する能力が低くなってしまいますので、免疫力は身体を守るためにとても大切なのです。

免疫力が下がる原因

疲労、睡眠不足、運動不足、ストレス、栄養不足(低栄養)、加齢など、たくさんの原因が免疫力の低下を引き起こすといわれています。加齢は誰もが避けられませんが、その他の原因については、日々の生活を見直すことで、免疫力の低下を軽くすることが期待できます。

風邪と亜鉛の関係

亜鉛は身体を守る免疫力にさまざまな形で関与していることが、最近の研究で明らかになりました1)
免疫の司令官(ヘルパーT細胞)、異物である抗原に特有な抗体を作る工場(B細胞)、ウイルスや細菌を掃除・排除する免疫細胞(マクロファージや好中球、ナチュラルキラー細胞)、免疫を構成するたんぱく質(補体)などがありますが、亜鉛が不足するとそれぞれの細胞の活性が弱まります2)。最近の研究では、亜鉛が免疫における細胞間の情報伝達物質として働いていることも報告されています3)
亜鉛が不足すると、免疫が十分に働かなくなるため、風邪をひきやすくなるのです。

さらに、子どもの亜鉛不足は、下痢を引き起こす感染症にかかりやすくなることがわかっています。

亜鉛は免疫力の維持に、私達の健康のためにとても重要なはたらきを担っているのです。

免疫力維持に必要な主な栄養素

亜鉛は自分の体内でつくることができません。毎日の食事から摂取する必要がある栄養素です。免疫力を維持するために必要な栄養素は、亜鉛以外にもたくさんあります。
抗酸化作用をもつビタミンB群・C・Eを含む食品も同時に摂取すると、免疫力維持が期待できます。
免疫力の維持には、バランスのとれた食事が欠かせないのです。

栄養素 種類 多く含まれる食品
ミネラル類 亜鉛 魚介類、肉類、穀類、種実類
セレン 魚介類、肉類、卵
レバー、魚介類、種実類、豆類、ココア
ビタミン類 B群 B1 肉、豆、玄米、チーズ、牛乳、緑黄色野菜
B2 肉、卵黄、緑黄色野菜
B6 レバー、肉、卵、乳、魚、豆
B12 レバー、肉、魚、チーズ、卵
C 緑黄色野菜、果物
E 胚芽油、大豆、穀類、緑黄色野菜
ω3系不飽和脂肪酸 α-リノレン酸 シソ油、エゴマ油、キャノーラ油、大豆油
免疫力維持には上記以外に細胞成分となるアミノ酸(たんぱく質)や糖類なども必要です

農林水産省ホームページ「健やかな食生活のために」を参考に作表

食生活の改善で風邪予防を

食生活の改善が、免疫力を下げないためにとても重要です。
一番は「バランスの良い食生活」を日々心掛けることです。

特に亜鉛を上手にとっていくことを、意識してみてください。
「1日どれくらいとったらいいの?」
「どんな食品に亜鉛が多いの?」
「おすすめ料理は?」など、気になる方にはこちらの記事がおすすめです。
亜鉛を含む食品
亜鉛を多く含むレシピ

毎日の食生活で亜鉛不足を解消し、免疫力up、風邪予防につなげていきましょう。

1)西田圭吾:ここまで分かった亜鉛の免疫システムにおける役割. 日衛誌  2013 ; 68 : 145-152

2) Shankar AH et al:Zinc and immune function:the biological basis of altered resistance to infection. Am J Clin Nutr 1998 ; 68 : 447S-463S

3)Kitamura H, Morikawa H, Kamon H, et al: Toll-like receptor-mediated regulation of zinc homeostasis influences dendritic cell function. Nat Immunol 2006 ; 7 : 971-977

監修:
帝京平成大学大学院 健康科学研究科
特任教授 児玉 浩子 先生